2040年全ビジネスモデル消滅 (文春新書 1108)

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  • 文藝春秋 (2016年12月20日発売)
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20世紀半ばに誕生したマクドナルドとディズニーランドは共に飛躍的な発展を遂げてきたが、21世紀になると業績に大きな差が生じ始める。マクドナルドは、デフレに対応するため価格を下げ、下がった売上を補うために他店舗化を推進したけっか、完全なコモディティ商品となった。一方、ディズニーは施設の魅力を上げることで価値を上げ、今も人気の施設となっている。

同じような現象が、日本の不動産市場にも今後、当てはまるであろう。首都圏の人口は2020年にピークを迎え、3569万人に達するが、その後は減少に転じる。上述の様に、不動産市場もコモディティ化が加速し、首都圏ですら人口増という新たな需要の増加が期待出来なくなるのである。住宅を建てれば、“誰かが買う”、オフィスを建てれば“誰かが借りる”という経済モデルは、何れ達行かなくなる。

現在、日本の空き家率は13.5%にも及ぶが、2033年には2160万戸、30%にも達するという。つまり、両隣のどちらか1軒が空き家という事になる。わずか17年後の事だ。2040年には、これが43%に及ぶと予測され、日本中がスラム化の危機を迎えることとなる。

生産人口が2010年の8173万人から、2040年には5786万人となり2100万人が減少する中、橋や道路、駅、空港といった社会インフラの維持には巨額の費用が必要となる。世の中の仕組みにも様々な歪が生じ、格差は拡大し、ディズニーの提供する夢の世界に酔いしれる事が出来るひとはいなくなる。当然、移民を受け入れる事が避けられなくなり、その移民たちはスラム化した空き家に住む事となる。移民は、治安上や生活上の問題を引き起こす事となるだろうが、もう日本として不可欠なものとなり向き合うことを余儀なくされる事であろう。

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感想投稿日 : 2018年10月8日
読了日 : 2017年2月4日
本棚登録日 : 2018年10月8日

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