採用基準

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  • ダイヤモンド社 (2012年11月8日発売)
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マッキンゼーが採用する、もしくはしたい人材は、本質的には他の企業が採用したいと考えている人材と変わらないという。ケーススタディを使った面接についても、正しい答えを導き出す能力を見ているわけでもない。

では、どういう人を採っているのか。著者の主張を要約するならば、リーダーシップを採ることが出来る人材ということだろう。

リーダーシップは、組織の上位職であるいわゆるマネージャーとは異なり、組織内のすべての構成員が持つべきものであり、発揮するべきものであるという。リーダー以外は、全てフォロワーとなっては、結局マネージャーとは変わらないと。

確かに、そうかもしれない。しかし、それは、マッキンゼーのような優秀な人材のみによって構成される組織では可能であろう。一般の社会の大多数は、フォロワーであることを疑問にも思わず、むしろ誰かに決めてもらい、決められたことを決められたとおりにやる、それを積極的に望んている人が多いのが実情である。

当然、そうした事実も含んでの著者の主張であり、日本が経済的に停滞している理由や、外交上でもイニシアティブを取れない理由もそこに求めている。問題の本質は奥深く、一人ひとりが強い使命感を持ってリーダーシップを実践したとしても、周りがリーダーシップといものを正しく理解していなければ、リーダーシップを効果的に実践することは困難となる。それでも、リーダーシップは皆に必要なの、そう著者は言いたいのだろうが、鶏が先か卵が先かの議論のような気もする。書中でも触れられているように、政治の世界で小泉純一郎元首相は戦後日本の歴史上で、最もリーダーシップがあった政治家だと思われているが、それでも成し遂げたことは少ないという事実。

先ずは、身近な自分の置かれれいる環境の中で、リーダーシップを発揮し、周りの人間にも同様にそれを実践できる環境を整える。出来ることからやろう、そう思うべきであろう。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
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感想投稿日 : 2018年10月8日
読了日 : 2014年4月13日
本棚登録日 : 2018年10月8日

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