百年の孤独: Obras de Garci´a Ma´rquez1967 (Obra de Garc´ia M´arquez)
- 新潮社 (2006年12月20日発売)
本棚登録 : 6974人
感想 : 429件
孤独にこれほど多彩な種類があること、物理的な距離と精神的な距離が必ずしも一致しないことを改めて痛感させられた作品です。
マコンドという架空の土地を開拓したブエンディーナ家の第1世代の勃興から第7世代の滅びまでの100年間を幻想的かつ奇天烈な要素を交えながら、一族の誰一人として逃れられなかった「宿命的な孤独」の描写を軸に描いています。
一族は皆で一つ屋根の下に暮らして一緒に食事を摂っているのに、誰一人として互いを本当に理解し支え合っているわけではなく、それぞれが抱える「宿命的な孤独」に逃げ込み、まるで溺れるように浸りながらそれぞれの形で生を終えていきます(他家から嫁いできた女たちですら例外ではない)。
一族の最後の生き残りである第6世代の「アウレリャーノ」が死を迎える瞬間、その「宿命的な孤独」の総てが或る一人の男によって描かれていた予定調和であったことを知るシーンは圧巻のラストでした。
ちなみに…この本は1972年版で図書館で借りたのですか、中のガーゼ調の糸が見えるぐらいボロボロで、外も中もテープで補強されまくっていました。40数年の間にいったいどれだけの人がこの孤独の吸引力に魅せられてむさぼり読んだんだろうと思うと(私もその一人になったわけですが)、マルケスの示唆どおり、孤独って本当に本質的なものなのかと怖いほど痛感させられます。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
古典
- 感想投稿日 : 2015年2月14日
- 読了日 : 2015年2月14日
- 本棚登録日 : 2015年2月7日
みんなの感想をみる