男性ばかりが暮らす世界となった2999年の地球を舞台にしたSF長編作品です。
ただ一人の女性である「聖母」(ホウリ・マザ)が人びとの前にすがたを現わす日に、目もとに青い刺青をもつ青年グリンジャが「都市」(シティ)を訪れ、マザの暗殺計画を実行に移します。都市を抜け出し砂漠を旅する途中で、グリンジャは行き倒れになっていたキラという少年を救います。その後、死にぞこないのアシジンと名乗る青年にキラの身柄を売りわたしたグリンジャでしたが、キラが盗賊にさらわれ、アシジンとともにキラの救出に向かいます。
『スター・レッド』と同様に、特殊な来歴と能力をもつ登場人物がその来歴ゆえに過酷な運命に翻弄されるという物語です。とくに本作では生殖が管理されているという、現在では相当にあつかいのむずかしくなっているテーマに挑戦した作品ですが、少女マンガの表現の可能性を大きく切り開いてきたキャリアをもつ著者の先駆性には目をみはらされました。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
文庫版コミック
- 感想投稿日 : 2021年9月8日
- 読了日 : -
- 本棚登録日 : 2021年9月8日
みんなの感想をみる