逆説の日本史3 古代言霊編(小学館文庫): 平安建都と万葉集の謎 (小学館文庫 R い- 1-3)

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  • 小学館 (1998年4月3日発売)
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道鏡と称徳天皇の関係、桓武天皇による平安遷都の謎、そして『万葉集』にひそむ謎が解き明かされます。

著者は、道鏡と称徳天皇が男女の仲にあったという通説を退け、持統天皇と藤原不比等の結束によって受け継がれてきた政治体制を否定して、日本に「易姓革命」をもたらそうとするのが、称徳天皇の狙いだったという説が提示されます。

また平安遷都の理由については、桓武天皇が早良親王の怨霊を恐れたためだという主張が展開され、風水に基づいて平安京の地理的性格を明らかにし、さらに東北の蝦夷征討も同様の理由によって説明しています。

『万葉集』の謎については、梅原猛が『水底の歌』で論じた柿本人麿の怨霊史観が採用されています。ただし、当時水死刑というものはなかったという、梅原の著書に対して寄せられた批判を念頭に置いて、人麿の遺体が海に遺棄されたという見解が示されています。

日本人が言霊の発想に今なお束縛されていると言い、平和憲法をめぐる左派の言説の虚妄を批判する議論に入り込んでいるところもあります。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 歴史・地域・文化
感想投稿日 : 2015年1月17日
読了日 : -
本棚登録日 : 2015年1月17日

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