考えない練習 (小学館文庫)

著者 :
  • 小学館 (2012年3月6日発売)
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本棚登録 : 1686
感想 : 168
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「考えること」とは、強い刺激を求めてやまない心の傾向性に支配されることであるという考えから、考えることをやめて五感を通じて得られる経験の諸相を見つめることを読者に勧めている本です。

巻末には、記憶力にかんする著作で知られる池谷裕二との対談が収録されており、脳科学と原始仏教というそれぞれの立場から、われわれ人間の心の精妙な働きについて、ときに大胆な推測も織り込みながら、議論が交わされています。

原始仏教の実践哲学を「心理主義的」と形容するのは適切ではないのかもしれません。また、著者が語っている方法は非常に具体的であり、そこに本書のもっとも大きな魅力があることも十分に理解できるつもりです。しかしながら、それでもやはり本書には、自分自身の心のあり方をコントロールするための技法として読まれてしまうような側面があることは否定できないような気がします。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 趣味・生活・人生
感想投稿日 : 2017年8月13日
読了日 : -
本棚登録日 : 2017年8月13日

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