全校生徒が夜を徹して80キロの道のりを歩くという、北高の伝統行事「歩行祭」を舞台に、異母きょうだいの甲田貴子(こうだ・たかこ)と西脇融(にしわき・とおる)が変化するいきさつを描いた作品です。
高校生が会話しながら歩いているだけなので、複雑なプロットなどはありませんが、何気なく交わされているような高校生どうしの会話のやりとりの中で、彼らの心境に変化が訪れる展開をつぶさに描き出しています。1年前にアメリカへ旅立った榊杏奈(さかき・あんな)の「おまじない」の内容が明らかになるシーンや、最後に貴子と融が心を開くシーンは、なぜだか分かりませんが強く物語に引き込まれます。
とくに、融に想いを寄せる内堀亮子(うちぼり・りょうこ)のキャラクターなどに、ジュニア小説的な作り物臭さを感じるのも事実ですが、それが少しも嫌ではなく、むしろていねいに作り込まれた作品という印象を持ちました。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
日本の小説・エッセイ
- 感想投稿日 : 2014年11月10日
- 読了日 : -
- 本棚登録日 : 2014年11月10日
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