6月19日に結婚式を挙げることになっていた池野千尋は、交通事故で記憶をうしなってしまいます。彼女は、道端で倒れていたところを前田一行という男に救われ、彼のもとに身を寄せます。そして彼女は、わずかな手がかりを頼りに記憶から消え去った自分の過去をさがし求めます。
やがて彼女は、新宿のクラブ「柚子」でホステスとして一年間働いており、原田というエリート・サラリーマンを手玉にとって、6月19日に結婚式を挙げる予定だったことを知ります。ところが、彼女は結婚式の直前に杉崎という別の男とドライヴに出かけて、その途中で事故にあって記憶をうしなったのでした。彼女が自分を裏切って他の男と会っていたことを知った原田は、彼女の不実を罵り、千尋自身も自身の不誠実な生きざまを知って絶望します。しかも、千尋が新宿のクラブ「柚子」で働いていたのは一年ほどで、そのときも彼女は昔の記憶をうしなっていたことがわかります。
さらに、彼女といっしょに暮らしていたという義母の雅美が、弁護士の山上という男をともなって一行の部屋に現われ、千尋を引き取ると言い出します。一行は彼女を引き渡すことに同意しますが、その後彼女が記憶をうしなった6月19日に起こった出来事を知り、その後ようやくすべての記憶をとりもどします。
振り返ってみるとストーリーそのものの不自然さが気にかかりますが、記憶の空白をたどっていくという展開にはやはり緊張感があり、一気に読ませる作品だと思います。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
日本の小説・エッセイ
- 感想投稿日 : 2020年11月6日
- 読了日 : -
- 本棚登録日 : 2020年11月6日
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