文芸批評家であり、保守派の論客としても知られる著者が、1968年の明治維新から1945年の敗戦にいたるまでの日本の近代史を概説している本です。上巻では、1919年の第一次世界大戦終結までがあつかわれています。
歴史とは「物語」であり、われわれが生きている「現在」がどのようにつくられてきたかということを理解することは、文芸の領域の任だと著者は語ります。本書では、とりわけ歴史のなかを生きてきた人物にスポットをあてられているところに特色があり、たんなる知識の集積ではない歴史の姿を示そうとする著者の意図がうかがえるように思います。
個人的には、もうすこし著者自身の歴史観をストレートに押し出してほしかったように思うのですが、「教養としての歴史」というサブタイトルをもつ本にふさわしく、その点にかんしては謙抑的なスタンスがつらぬかれており、日本の近代史をおおづかみにするためには役立つのではないかと思います。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
歴史・地域・文化
- 感想投稿日 : 2019年3月29日
- 読了日 : -
- 本棚登録日 : 2019年3月29日
みんなの感想をみる