法然と彼の説いた専修念仏の思想について、わかりやすいことばで解説している本です。
一般的に、親鸞にくらべて徹底性を欠くというイメージのある法然のスタンスを、同時代における庶民の救済にかかわる彼の態度にもとづいてポジティヴに解釈する試みがなされています。
著者は、ユング心理学や西田幾多郎の哲学、キリスト教における解放の神学や自然科学的な観点からの称名の効果にかんする研究など、さまざまな議論をとりまぜながら、法然の魅力を多角的に照らし出そうとしています。仏教学のなかでの法然解釈になじんだ読者にとっては、著者の無手勝流のスタイルは容認できないと感じるかもしれませんが、法然の思想にはじめて触れる読者にとってはおもしろく読める本なのではないかと思います。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
宗教
- 感想投稿日 : 2020年8月7日
- 読了日 : -
- 本棚登録日 : 2020年8月7日
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