英語の文法を、たんなる語と語をつなぐ「形式」としてとらえるのではなく、「意味」や「コミュニケーション」といったものとの密接なつながりのなかでとらえなおす見かたが、わかりやすく解説されています。
著者はまず、学校文法の大きな枠組みとなっている五文型をとりあげ、それによっては見えてこない文の構造にかんする理解へと読者をみちびいています。さらに認知言語学的な観点から、文の「形式」と「意味」のかかわりについて多くの事例を引きながら説明し、コミュニケーションやレトリックなどのテーマにも踏み込んでいます。
英語の動詞と日本語の動詞をくらべて前者には「他動性」が高いという指摘がなされていますが、最後のレトリックをテーマにとりあげた章ではこうした見方が拡張され、やや文化的な類型論に行き着いてしまっているような印象もあります。それまでの議論がたいへん興味深いものだっただけに、すこし残念に感じました。
「付録」では、著者が辞書の編纂にかかわったときにインフォーマントによって指摘されたいくつかの問題点があげられ、本書で示された観点からの解説がおこなわれています。この部分はたいへん勉強になることが多く、とくに有益な内容を含んでいるように感じました。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2020年8月9日
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- 本棚登録日 : 2020年8月9日
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