デウスの棄て児

著者 :
  • 小学館 (2003年6月1日発売)
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本棚登録 : 550
感想 : 73
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嶽本野ばら的、「新釈」ならぬ「超解釈」な天草四朗伝。望まれぬ子として生まれ、「悪魔の子」と蔑まれ、天主を怨み、天主に復讐する事にのみ生きる意味を見出そうとする四朗。
天草四朗-「悪魔の子」と云う設定。山風先生の「魔界転生」の二番煎じではないか、と思っていたのだが、全然違った。こちらは徹底して「良い話」として展開させ、全く新たな天草四朗像を確立している。
誰かに縋り付きたいが、誰にも縋り付けない-四朗の姿は、良く言えば「孤高」、悪く言えば「孤独」。彼の内なる葛藤と心の氷解が見所。
展開と細部に無理を感じるものの、爽快な読後感を楽しめる作品。時代小説として読んでしまうと、いろいろと難点が目に付くので、エンタメ作品として純粋に楽しんで読むべし。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 伝奇&妖怪
感想投稿日 : 2010年6月22日
読了日 : 2010年6月22日
本棚登録日 : 2010年6月17日

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