宮下奈都さんと小路幸也さんが合作した本が出ると知って
「きゃー、aikoと秦基博がコラボするみたいな、その豪華さ♪」と
わくわくしながら待ち構えていた私。
心に蓄積した思いを、独特の言葉遣いで表現する宮下さんと
衒いのない、やわらかな言葉で温かい世界を描く小路さんなら
音楽界でいえば、まさにその組み合わせ!と思ったのだけれど
読んでみると、予想は気持ちよく裏切られて、まるでひとりの作家の作品のよう!
ことに、いつもの宮下節を封印して小路さんの作風に溶け込むような宮下さんの筆致は
耳にしたら忘れられない声なのに、誰とコラボしても突出せずに
綺麗に合わせてしまうmiwaちゃんを思わせます。
柔道が好きで、おかあさんが焼いてくれるマドレーヌが好きで
かっこよくてやさしいおにいちゃんが大好きな、小学4年生のまどか。
妹を溺愛し、家族を大事に思い、それと同じくらい音楽を愛していて
バンドでメジャーデビューすることを目指し、練習に励む兄の由一。
つむじダブルのこの兄妹が、平凡すぎるほど平凡だと思っていた
愛する家族の中にいつのまにか紛れ込んでいた秘密に翻弄されながら
変っていく自分、変わらない自分、そして家族について
ぐるぐる考えて、ぐるぐるまわって、でもちゃんとあるべき場所に戻ってくる。
愛情を惜しみなく注がれて育ってきたふたりならではの健やかさが眩しい、
爽やかでかわいらしい物語。
素敵なおにいちゃんがほしかった!と願ってやまない
夢見がちなひとりっ子女子なら、思わずきゅん♪としてしまう1冊です。
- 感想投稿日 : 2012年12月26日
- 読了日 : 2012年12月25日
- 本棚登録日 : 2012年12月26日
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