箱舟の行方 (ジェッツコミックス)

  • 白泉社 (2006年7月28日発売)
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本棚登録 : 390
感想 : 31
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帯文句の扇情加減とやや尖ったカバーデザインがレーベルらしくなく、どんな作家なのだろうと興味を持っていた。ジェッツコミックスってロゴの処理とか背とかが微妙にダサいですよね。ふたりエッチのカバーなんかもラブコメっぽくてエロ寄りには見えないので、一連のシギサワカヤ作品はその意味でも浮いていた。で、金欠を引き金として発症する「新しいマンガ作家に出会いたい病」が、「まんまんちゃん、あん。」のあまりに素晴らしい終幕によって「エロを恐れない、心理描写が痛いほど鋭い女性作家」にポイントを絞って目覚めてしまい、購入に至る。かずまこを「純水アドレッセンス」もまったく同じ経過をたどって買ったことにいま気付いた。
会話とストーリーが切り込んでいく先に、見たことのないものがなくはない。それが一見冷静・冷徹な男女のセックス描写と結びついている点はわくわくさせられるが、核になるセリフが対話ではなくモノローグにしかないこと、絵の密度が薄い感じ、構図の寄り引きの変化があまりなく状況がわかりにくいことが相まって、作品全体を遠く感じる。読ませよう、私という読者に迫ろう、とする最後の一押しがないように感じてしまう。
大ボリュームの同人誌再編集「九月病」(上下)※兄妹近親相姦もの を見てみたくて、この「箱舟」でその如何を測ろうとしたヘタレっぷりが裏目にでてしまった。つまり「九月病」のほうがこの「箱舟」よりさらに前の作品なんだよな、どうしよう……

読書状況:未設定 公開設定:公開
カテゴリ: 購入_コミック
感想投稿日 : 2009年2月16日
本棚登録日 : 2009年2月16日

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