アンナ・カレーニナ(中) (新潮文庫)

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感想 : 69
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上巻に比べ、物語により多くの展開があって面白く読むことができた。いわゆる、世間で認められるような一般的なハーッピーエンドという言葉で片付けられる愛は、オブロンスキーとドリイ以外今のところ予想するのが難しい。リョーヴィンとキテイ、ヴロンスキーとアンナは愛の成立の仕方が真逆、つまり表と裏のような関係であるも、どちらも成就する前の抱いた期待には届いていないようだ。相変わらず何か危険な感じを漂わせる。
それにしても、カレーニンは本当にかわいそうに思える。キリストが神人ではなく、人神であるとするならば、彼みたいな慈善深い人を言うのだろうか。愛より野心、ここでいう野心はステータスのようなものだが、そういった類いなものを追い求めるのであれば、どうぞ孤独に頑張って下さいというような感じである。

物語の人間関係は比較的に限られているために、1人1人が相当濃く描かれている。ある種のロールモデルのような、自分のような、もしくは自分がこう生きてみたいという人物が見つかるのではないだろうか。

名前は覚えていないけど、ヴロンスキーの同級生でひたすら出世している友人は、なかなかカッコいいかもなー。愛に関しては、「複数の女を知るより、1人の女を深く知る方が女をよく知ることになる」という言葉に代表されるように、この物語全般に見られるドロドロな愛に比べれば、かなり潔く思える。
深く愛に知り、そう生きようとするのではなく、適当なところで見切りをつけて、お互いあまり詮索せずにいる方が幸せかもね。
そう思うと『アイズワイドシャット』やウディ・アレンの映画になかなか共感できるのではないだろうか。

下巻、そうではない愛に溺れゆくそれぞれの結末はどうなるのであろうか。でも、意外と展開は読めるのかな。まぁ、展開は読めたとしても、そこで行われるやりとりに教訓めいた言葉がそこらじゅうに散らばっており、参考になる。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: トルストイ
感想投稿日 : 2014年4月14日
読了日 : 2014年4月14日
本棚登録日 : 2014年4月14日

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