君たちに明日はない

著者 :
  • 新潮社 (2005年4月1日発売)
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感想 : 120
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TVドラマ化、コミカライズもされた垣根涼介氏の人気作。第18回山本周五郎賞の受賞作であり、同シリーズが第4弾まで刊行されています。

垣根涼介氏は、サラリーマンと作家の「二足のわらじ」期間を経てデビューした作家さん。もともとはミステリーでデビューされていますが、本作のようなサラリーマンを描いたものから冒険小説、最近は時代小説まで、幅広いジャンルを手掛けておられるんですね。自分は、初「垣根涼介」なので、よく分かりませんが、当時は、ミステリー・冒険の垣根が、なぜサラリーマン小説を、と不思議がられたとか。

という前置きはさておき。
本作品は、ビジネス色よりも、ややエンターテイメント色が強いですかね。会社を舞台に、会社に所属する人たちの人間模様を描いた連作短編の構成をとります。ちなみに、垣根さんの趣味なのか、性の表現が時々ゲスい(笑)

Act.3の銀行員「池田」の話が一番好きですね。真面目で正直に生きることで馬鹿を見るのが、会社であり社会。要領よく生きなければ貧乏くじを引くのが、この世の中です。それでも自分は、そんな中でも真面目に誠実に生きていこうとする池田のような人物が好きですね。

ただ一方で、主人公の村上みたいに要領よく生きることに憧れます。というか自分も、社会人になるまでは、根は真面目ではあったけど、要領よく立ち回って、どうすれば甘い汁を吸えるか、楽に生きていけるかを考えるタイプの人間でした。なんか真面目になりすぎてしまっているなあ、と思います。
ひとりになったことだし、天が人生を仕切り直すタイミングを与えたくれたと思って、もう一回、破天荒さを取り戻してみようか。きっと、殻を破れるはず。

決してそんなことをテーマにした作品ではないのだろうけど、自分にとっては大事なことを思い出させてくれた作品になりました。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 文学(作者名:か行)
感想投稿日 : 2014年5月6日
読了日 : 2014年5月6日
本棚登録日 : 2014年4月29日

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