ジョージ・オーウェルの『1984年』を久しぶりに読んでネットで書評を眺めていたら知った小説。『1984年』とは真逆のユートピアSF小説と言われるもの。
全体的に軽快な文体に感じた。壜詰めで人間を造るという発想・シーンは斬新・衝撃的で良かったが、フリーセックス・ソーマによる麻痺・障害物ゴルフなどはあまり魅力的に感じなかった。『1984年』と比べて絶望感は少なくむしろ理想的な社会という気もした。
野蛮人のジョンがロンドンに戻ってからの古典引用のセリフ回しはくどい。世界統制官との討論シーンは良かった。
印象的だったのは「科学の追及は至上の善」という現代において否定しがたい言説を、否定している点。小説内ではその結果炭疽菌爆弾を使用した九年戦争が勃発し人類が滅亡仕掛けたと言う。解説によると、著者のオルダス・ハクスリーは原子力研究に対する警鐘を鳴らしたものとしているが、昨今ではAI(人工知能)などの情報技術が当てはまるような気がした。技術的な発展の先に、それを使いこなせない未来が待っているのか。(シリコンバレーのリバタリアニズム)
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
小説
- 感想投稿日 : 2018年1月18日
- 読了日 : 2018年1月4日
- 本棚登録日 : 2018年1月17日
みんなの感想をみる