まず冒頭からいきなりグロいのに、一人称視点のクラヴィスの語り口が冷静で淡々としているから読者である自分側もなんか冷静に受け入れられてしまうんだよなぁ。
人を殺す描写を淡々と読めてしまう感覚にヤバいなこれ……って危惧を覚え始めたところで、クラヴィス含む特殊部隊の面々が洗脳に近い処置を施されてる具体的なシーンがあってなるほどな!って思った。構成の妙。
たぶんしばらくは空想の中でしかあり得ないような未来の技術描写と「もしかしたら起こるかもしれない事件」の現実味がうまく地続きになってる世界観は、グロテスクで残酷なのに惹かれるものがある。
物語の主軸になるキャラクターではないけど、ウィリアムズの存在がとてもこの小説のテーマ性を表してると思った。
不都合な現実を積極的に「見てみぬふり」って、現代の日本人にも通じる考え方だよね。
「人間は愚か」と思いつつ、自分も同じ立場だったら今の平穏を守るために同じ選択をするんだろうな……。
読書状況:読み終わった
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紙で所持
- 感想投稿日 : 2021年4月28日
- 読了日 : 2021年4月28日
- 本棚登録日 : 2021年4月28日
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