国民アイデンティティの創造: 十八~十九世紀のヨーロッパ

  • 勁草書房 (2013年2月28日発売)
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アンヌ=マリ・ティエス『国民アイデンティティの創造 十八~十九世紀のヨーロッパ』勁草書房、読了。本書は近代欧州を部隊に、神話や伝承の再発見が「国民アイデンティティ」の起源と見なされ、「国民の歴史」が「国語」が生成される経緯を物語る一冊。国民意識は歴史であると同時に現代的である。

本書が面白いのはハイカルチャーの言説のみに注視しない点だ。土着の文化からスポーツや観光などの大衆文化までが総合的に検討されている。「自分で直接、あるいは他者を介して国土を駆けめぐる」ツール・ド・フランスも例外ではない。

集団のアイデンティティの範型となるのがヨーロッパで創造された意識。本書はその最新の探求。考察とエピソードという構成で非常に読みやすい。訳者の工藤庸子さんは、原典購読の教材に使っていたという。原著が読みたくなった。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: ナショナリズム
感想投稿日 : 2013年5月17日
読了日 : 2013年5月17日
本棚登録日 : 2013年5月17日

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