隣人が敵国人になる日: 第一次世界大戦と東中欧の諸民族 (レクチャー第一次世界大戦を考える)

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  • 人文書院 (2013年9月25日発売)
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野村真理『隣人が敵国人になる日 第一次世界大戦と東中欧の諸民族』人文書院、読了。一次大戦とは、独仏の直接対決と戦後の民族自決の印象から、帝国から国民国家へ歴史に見えるが、そう単純ではない。帰属意識も疎らな多民族混淆地域の東部戦線では「隣人が敵国人になる」日であった。

言語や宗教の異なる諸民族が複雑に入り組む東中欧。いまだに国民国家を想像できないでいる民衆が存在する。ゆるやかな連合としての帝国の崩壊は、民族自決と国家形成の理念を掲げつつも、多様な人々を置き去りにすることになった。

EUの成立、グローバル化の進展は、国民国家の意義を逓減しつつある。国家=民族である必要はなかろうが、民族であることと、国民であることから置き去りにされる歴史を振り返る本書は、近代とは何かを教えてくれる。知られざる歴史に分け入る一冊。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: ナショナリズム
感想投稿日 : 2013年12月7日
読了日 : 2013年12月7日
本棚登録日 : 2013年12月7日

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