ジェームズ・キャメロンはヒットメーカーね……というのが第一の感想。映像のすごさに関してはいたるところで言及があるのですが、これだけVFXを駆使した作品ともなると、役者さんを用いた撮影中には映像が未完成なので、役者さんは自分の今いる世界や相手の様子を正確にイメージできない状態で演技をしているわけで、それもまたすごいことなのですよねえ。映像スタッフのみならず役者さんの想像力もすごい。
ストーリーは単純かつ王道で、小さい子など夢中になって見るのではないか。映像も音楽も美しいですし、神秘的で魔術的ですらある自然と宇宙人、ロボットや戦闘機まで出てきて、SFと古典的ファンタジー、ロボットアニメにイニシエーションの物語、そして恋愛とイデオロギーの対立の物語と、とにかく要素がてんこ盛りですから、大人数で見ても安心。エッチなシーンもないからさらに安全!(笑)
ただすごい映像技術には代償もあって、何十年も経ってから見ると、技術の粗が見えてしまうのですね。さすがにここまで美しいと、そんなことはないのでは……? とも思うのですが、『キング・コング』が最初に放映された時にも当時の人々は同じように思っていたはずなのですよね。今みると笑えるんですけど、当時の人は絶対に真顔で見ていたと思う。本作クラスの映画がのちに笑える作品になるかどうかは実際に何十年か経過しないとわからないわけですが、そうならないことを祈りつつ、とりあえず2010年代においてはすごい映像美だったぞ。見ごたえのある映像でしたぞ。
※追記
さすがにブクログを利用されている方は大人の方が多いですから、辛口レビューが多いのですけれども、本作はたぶん子ども向けだと思うのですよね。すでにいろいろな方が言及されている通り、大人には既視感のあるシーンも多く、たぶん明確にパロディのつもりで盛り込まれたものが多々あると思われます。大人はパロディの部分で記憶をほじくり返しつつ、劇場には子連れできてね! おうちでも子どもと見てね! ホームパーティで上映してくれてもいいし、子どもにかまってばかりおれないんじゃあ、という忙しいおうちの方も活用してね! という映画だと思うので、ストーリーに関しては甘めに評価しておくのが本作の楽しみ方のような気もしました。基本的に娯楽大作を多く手掛ける監督ですし、映画に重厚感を求めている監督ではないと思われますしね。
- 感想投稿日 : 2017年2月13日
- 読了日 : 2017年2月13日
- 本棚登録日 : 2017年2月13日
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