本書は、中東の宗教的少数派コミュニティを訪ねた著者が、現代に生きる彼らの姿をまとめあげたものである。
中東はイスラム一色だと思いがちだが、実は多様な宗教の宝庫である。中東はユダヤ教、キリスト教、イスラーム教の誕生の地であるだけでなく、他の数々のマイナーな宗教の生まれた場所でもある。
古代からほとんどその姿を変えずに伝統を守ってきた宗教もある。中東の宗教が現代の西洋に与えた影響もある、善行により天国に入るという考え方はもとはゾロアスター教のものだし、握手の習慣はミトラ教からローマに伝わったものだ。
そんな少数派宗教が危機を迎えている。ムスリムとの対立や内戦によって激しい迫害を受け、信者は国外へ脱出していった。
身の安全のためには仕方ないことではあるが、一方で彼らの国外への脱出を促すものであり、すなわち本国でのコミュニティ消滅を加速するものである。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
宗教
- 感想投稿日 : 2017年5月28日
- 読了日 : 2017年5月28日
- 本棚登録日 : 2017年5月28日
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