『そもそもが“殘酷物語”の目次を一瞥しただけで、この作家が何を考え、この訳者が何を難じているかが察しられ、それまで読み耽ってきたもののすべてが虚しくなるほどの衝撃を受けたという方が近いであろう。』リラダン著“残酷物語”の訳者 齋藤磯雄に対してだけ中井英夫は先生という尊称を使った。誰に対しても、例えば日夏耿之介に対してさえ先生と呼ばなかったのに。本書は江戸川乱歩や三島由紀夫、澁澤龍彦の名前が連なり、時代の豊潤さと屈折した中井英夫の感情が絡みつく。読書中、僕は冒頭の鈍色に支配された。とても虚ろな色に染まった。
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- 感想投稿日 : 2015年9月4日
- 読了日 : -
- 本棚登録日 : 2015年9月4日
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