犯人に告ぐ

著者 :
  • 双葉社 (2004年7月1日発売)
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神奈川県警の警視、巻島史彦は、幼児連続殺人事件の捜査責任者に任命された。

その数年前、彼は、幼児誘拐犯「ワシ」を取り逃がし、幼児は殺害され、彼は地方に飛ばされていた。
今回、彼を任命した上司、曽根警視菅は、その時の事件で大きなミスをしているのだが、失敗は全て巻島にかぶせられた。記者会見の席も巻島がすることになり、記者の悪意と、娘いずみの出産後の経過を心配する中で、彼は記者に開き直ってしまったのだった。

その事件後、一度も切らなかった長い髪と共に、かれは犯人の「劇場型犯罪」にのった形でテレビに出演し、犯人を挑発していく。
一方、曽根の親戚で彼の直接の上司となった刑事総務課長の植草は、その権限を用いて、私利的な動きをはじめ、結果的に捜査を妨害していく。
はたして、犯人は巻島の挑発にのってくるのだが…。

巻島の捨て身の行動と、前の事件でもいっしょだった本田のサポートや、飛ばされた地で彼を助けた津田が助っ人で入ったことで、巻島は、マスコミや世間や警察内部の反発から孤立せずに犯人逮捕の方向へすすんでいく。
植草の自分勝手な解釈の行動がその動きをぶち壊してしまうのではないか、というハラハラ感が、その動きを強調し、よけいに面白く思えた。

そして、最後追い詰めた場面で、また前事件の「ワシ」が登場してきて、巻島の孫を誘拐、巻島を誘い出し、事件は大団円の中に。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
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感想投稿日 : 2015年2月3日
読了日 : 2015年2月3日
本棚登録日 : 2015年2月3日

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