少年時代 上 (文春文庫 マ 6-4)

  • 文藝春秋 (1999年2月1日発売)
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本棚登録 : 235
感想 : 33
5

十二歳の少年の一年間を描いた成長物語。ただの少年の日常のはずなのに、現実と非現実、日常と非日常が巧妙に織り成されている。夢だけでなく、現実の厳しさと素晴らしさが描かれている、そのバランスがすごく好き。
架空のひとつの町を描いているという点もツボです。登場人物のひとりひとりが生きている。ゼファーという町そのものを愛してしまう。
すべてのエピソードが魅力的ですが、一番好きなのは、後半の主人公が汽車に乗って家出するところ。田舎育ちはとても共感できると思う。
形式的には私小説ですが、内省的なのではなくて、子供の頃に夢見たことや恐れていたもの、そのたもろもろのことが詰め込まれた青春小説だと思います。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: ファンタジー小説
感想投稿日 : 2008年5月18日
読了日 : -
本棚登録日 : 2008年5月18日

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