十二歳の少年の一年間を描いた成長物語。ただの少年の日常のはずなのに、現実と非現実、日常と非日常が巧妙に織り成されている。夢だけでなく、現実の厳しさと素晴らしさが描かれている、そのバランスがすごく好き。
架空のひとつの町を描いているという点もツボです。登場人物のひとりひとりが生きている。ゼファーという町そのものを愛してしまう。
すべてのエピソードが魅力的ですが、一番好きなのは、後半の主人公が汽車に乗って家出するところ。田舎育ちはとても共感できると思う。
形式的には私小説ですが、内省的なのではなくて、子供の頃に夢見たことや恐れていたもの、そのたもろもろのことが詰め込まれた青春小説だと思います。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
ファンタジー小説
- 感想投稿日 : 2008年5月18日
- 読了日 : -
- 本棚登録日 : 2008年5月18日
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