アンの娘リラ 赤毛のアン・シリーズ 10 (新潮文庫)

  • 新潮社 (2008年4月24日発売)
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本棚登録 : 721
感想 : 36
5

いよいよアンシリーズの最後。アンを取り巻く人たちのお話でまだ読んでいないものはあるようだけれど、私の中ではいったん、最後と位置付けたので、ついに、という感じで読み進めた。

アンとギルバートの末っ子、リラの視点で物語は進む。アンシリーズではこれまでになかった戦争(第一次世界大戦)が物語に大きく影を落とす。
アンの息子も3人とも戦地に赴くことになり、辛く苦しい時期が続く。そんな中でも、戦場と化していない場所では生活は続くのだと改めて認識した。女性は女性なりにできることをし、戦況に一喜一憂しながら、日々は続いていく。本作の一番の見どころは、リラの成長だと思う。本来なら若く楽しく美しいばかりのはずの10代を、こんなはずではなかったと思いながらも戦争という時代とともに生き、素晴らしいひとりの女性へと成長していく。特に戦争孤児のジムスの存在は大きかったのだろうと思う。

物語の序盤では、さらっと、すでにマリラが亡くなっていることが描かれていて、当然だけど、もうアンもいい歳なんだなーと感慨深かった。

リラのお相手、ケンが帰還し、「リラ・マイ・リラ」と呼びかけるエンディングは、アンの想像力に負けず劣らずロマンチックだったような気がする。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2022年4月21日
読了日 : 2021年12月13日
本棚登録日 : 2021年12月13日

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