サービス終了を迎えるVRMMORPGに居座っていたらログアウトできなくなった。
一体どうなってるの?とあわてる主人公に話しかけてきたのは、本来自律行動をとることのないノンプレイヤーキャラクターたちで・・・ひょっとしてここはゲームそっくりの異世界なの?みたいなお話。
ぶっちゃけ、ソードアートオンラインの亜種。
主人公のキャラが人外、それもアンデッドモンスターであるエルダーリッチってところが特徴。
人外モンスターを率いるアンデッドの王、オーバーロードを主人公としたダークファンタジー。
挿絵もおどろおどろしく、骨太な世界がつづられる、と言うことになっている。
なかなか興味を引かれる設定なんだけど、残念ながら筆力が追いついていない。
表現力や文章力が若干不足しているようで、ちょっと背伸びした文章だなぁと感じる。
むしろ、コミカルで力の抜けたシーンの方が無理がなく、親しみやすい。
骨太なファンタジーを描ききる筆力があればかなり面白くなりそうな気配は感じたので、非常に惜しい。
それでも、続きはなかなか楽しめそうな気がした。
個人的な評価としては、転生したらスライムだった件、に近い。
文章力的に若干の不満を感じる点や、主人公がモンスター側ってところも転生スライムを髣髴とさせる。
まあ内容的にはずいぶん違うけれど。
ー追記ー
3巻の途中まで読んでから、原作であるweb版を軽く読んでみた。
どうも、書籍化するに当たってほとんど別物?ってレベルの加筆修正が加えられたらしい。
web版を下敷きにはしているが、大幅な設定の追加が行われている。
まず、web版には書籍版で重要な位置にいるアルベドがいない。マーレもいない。
書籍版では細かい設定も追加されたようだ。
特に、主人公の心象描写がかなり追加されているので、主人公や物語全体から受けるイメージも大幅に変わっている。
カルネ村でのイベントやエンリの扱い、戦士長との対話などもweb版と書籍版ではかなり違う。
書籍版でカルネ村に向かうのは主人公とアルベドだったが、web版にはアルベドがいないので主人公のみ。
おかげでイベントがかなり変更されている。
書籍版でのエンリはただの村娘としての役割しかないが、web版では主人公に雇われて帝国へ旅立つ。
全体的に、web版から書籍化するに当たって、細かい設定の追加、主人公の心理描写の掘り下げ、ラノベ的な萌えキャラ要素の追加が行われたのだろうと思われる。
主人公にべた惚れのアルベド、男の娘マーレ、シャルティアのエロゲ要素など、萌えラノベ的な成分が書籍版では増えている。
その分、web版のダークファンタジー成分が若干薄れているのに、イラストは本格的なダークファンタジーがイメージされているので、なんとなくちぐはぐな印象を受けたのかもしれない。
書籍版で追加された要素は面白いと思うんだけど、web版のほうがすっきりとまとまっていて好印象を受ける。
いや、書籍版の追加要素も面白いとは思うんだけどね。
なんかそのおかげで物語としての個性、とんがったイメージがマイルドになって特徴がぼやけちゃったのかな。
web版を踏まえて評価すると☆が一つ増える。
- 感想投稿日 : 2015年8月4日
- 読了日 : 2015年8月4日
- 本棚登録日 : 2015年8月3日
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