英国貴族の館に本格的な日本茶室を作れ、という本当かどうかわからないような依頼を受けて、渡英したのは作庭師の真宮丈慈。
彼を待っていたのは、年下の若き伯爵と、祖父の代から館に仕える美貌の執事・ギルだった。
ギルは、執事としての誇りを持ち、若き伯爵によく仕えていた。
けれど、丈慈にはどうしてかそれが面白くない。
挙句、「私をカフェの店員と同じに思われては困ります、サー」とギル自身に怒られてしまう始末。
丈慈に、作庭師としての誇りがあるのと同じように、ギルにも執事としての誇りがある。階級社会の伝統を体現するギルは、物腰は優雅だけれど、丈慈には慇懃無礼であった。
初めは、お貴族様の依頼だと思い、断ろうと思っていた丈慈だったが、年若の伯爵の思いもがけない情熱と、誇り高い執事を打ち負かしたい反逆心をあおられてしまい……
という話。
英国まで赴いた丈慈は、日本風の庭を作るという依頼を受けるか受けないかを決めるために来たのだが、そこでちょっとした諍いをギルとしてしまい、そのことから足をくじいてしまう。
それで帰るに帰れなくなってしまって、しばらくその屋敷に滞在することになったのだが、最初からギルに目を奪われてしまった丈慈は、ギルが党首に仕えるのがどことなく気に食わない。
けれど、当たり前のように丈慈にはギルに命令する資格などなく、しかも、ギルは「執事」であるという己の仕事にこだわりを持っている。
おおよそ、そんな自分にとっての線引きを崩してくれようとはしない。
ところが、丈慈の父親が倒れたという連絡が入り、ギルが執事としてそれに付き添うことになり、屋敷の中で「執事」として振る舞うギルではない一面を見て……
という感じの話でした。
面白かったと思います。
最初は、反発してたけど、そのうち少しずつ距離の縮まっていく二人の様子がよかった。
最初の丈慈の子供っぽくみえなくもない振る舞いはちょっといただけなかったようにも思いますが、相手の気を最初から惹きたかったのだとしたら、それはそれで仕方がないような気もするし。
そういう素直じゃないところもかわいいなー……と思います。
でもきっとそういう素直じゃなくて、ギルに向き合ったからこそ、ギルが振り向いてくれてるんだろうなー……というのもなんとなく予想ができるので、お似合いなんだなー……と。
後はこの作庭が終わった後、二人が距離の問題をどう越えていくか、だと思いますが、これはこのままハッピーエンドで終わってくれてよかったと思います!
- 感想投稿日 : 2012年6月10日
- 読了日 : 2012年6月10日
- 本棚登録日 : 2012年6月10日
みんなの感想をみる