グイドとバサラの半ば脅しも含めた強引な誘いに寄って、司令官を奪還する作戦に協力せざるをえなくなったカイと三四郎。
しかし、相手の基地に乗り込んだはいいものの、待ち受けていた敵の罠に寄って作戦は失敗に終わってしまう。
カイは精神に重大な傷を受けて意識を失ったまま戦場を後にせざるをえなくなってしまう。カイの精神に受けた傷は、死に向かう人間の感情を集めてしまう、というエムパスの人間ならではのもので、カイはその感情に引きずられまいと自らの意識を封じ込めてしまう。
一方、カイは拘束されてしまったグイドを助けるために、グイドの副官であったサーシャとともに、基地に残り密かに作戦を進めようとしていた。
カイが戦闘を離脱した後に引き起こされたことは、私が思ってたよりも重要なことだったようです。個人的には、ただ単にカイが三四郎と引き離されてしまったことにショックを受けていたのですが。
実は、カイはそれどころではなかった……という。
カイは死へと向かう人の想いに引きずられて、生死を彷徨っていました。
三四郎が「お前は兵士にはなれない」と繰り返し言っていたのは、このことだったようで、まんまと三四郎の勘はあたってしまった訳です。
だったら、もっと早く、口で説明してやれよ……と、思わないこともないんですが。
それを説明したら終わりだし、説明した所でカイが納得したかはきっと別問題なんですよね。
この二人はどっちもどっちで意地っ張りなのでなかなかに難しい。
けど、カイはこの苦境をちゃんとバネにして立ち上がってくれました。
そして、一回り大きくなった新しいカイが誕生する……。まぁ、ちょっとオーバーに書きすぎかもしれませんが。
結局、この二人がハッピーエンドになるためには、今のままじゃいけなくて。
三四郎が変われないなら、カイが変わるしかないんですよね。
なんだか、最後の方とか、ラブくて! 思わず、泣いてしまいました。
嬉しくて泣いてしまう小説なんて、実はそんなにないので、ちょっと個人的にはびっくりしたんですが、それくらいこの本でのカイの成長が嬉しくて。
少し、カイの肩の力が抜けたことがよかったなーって思います。やっぱりすごくすごくいい話です。
次の巻が最後だっていうのが、悲しすぎるくらいですが、早くハッピーエンドを迎えさせてあげたい気持ちもあって。
ちょっぴり複雑です。
- 感想投稿日 : 2011年10月15日
- 読了日 : 2009年5月6日
- 本棚登録日 : 2011年10月15日
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