ナゲキのカナリヤ―ウタエ― (幻冬舎ルチル文庫)

著者 :
  • 幻冬舎コミックス (2013年1月31日発売)
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本棚登録 : 288
感想 : 26
3

 現実逃避でネットゲームに女性として参加している佐光清也。そうやってオンラインの世界で知り合ったのが「ダリ」というプレイヤー。ダリからは「会いたい」と言われ、本当は男である清也は断っていたが、自身もダリに会ってみたい気持ちが抑えられなくなり、ついに了承してしまう。
 待ち合わせ場所に現れたダリはゲームの中、そのままの面倒見のいい爽やかな男で、清也はダリへの想いを募らせる。
 一方、勤める会社の上司に清也が受けているセクハラがだんだんとエスカレートし始めて――

 家庭の事情やその他様々な事情から、人を信じられなくなって、自分にも自信がなくなった清也がダリこと高知尾利憲に助けられながら、ピンチを脱出していく話でした。

 人間、ひどいいじめに遭うと無力感に駆られて、抵抗する元気もなくなってしまっていて、更に視野狭窄に陥ってしまう……という清也の置かれた状況の描写がとてもわかりやすいし。そうやって閉じこもってしまった清也を暖かく包んでくれる利憲の包容力もとても素晴らしい。
 そして、清也の社内の協力者として出て来る女子社員・つぐみのキャラクターもとても素敵で、ちょっとしんどい話なんですが、読んだ後には優しい気持ちになりました。

 傷ついている姫を救うナイトの物語のようなBLを読みたい方にはオススメします。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 小説(BL)
感想投稿日 : 2023年11月5日
読了日 : 2023年11月5日
本棚登録日 : 2023年11月5日

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