たまもの

著者 :
  • 講談社 (2014年6月27日発売)
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本棚登録 : 164
感想 : 26

この本に書かれていること全てが私の心に突き刺さっていたたまれない気持ちでいっぱいになった。
母になること、子を育てること、いろんなことを諦めること、親が老いること、ままならない人生。
今の私の心境にあまりにもすっぽりと収まってぞわりとする。

例えばこんな文章。
ー惚けても万歳、と思う。汚れも万歳。何もできなくても万歳。年老いておめでとう。父と母に、大きな、具のない、白い塩むすびみたいな肯定を送りたい、と思う。

いい文章だな。
私の気持ちを代弁してくれてありがとう。

さて、本題は別のところにある。
主人公の「わたし」は幼馴染から突然預けられた赤ん坊「山尾」を10年間育てている。
寝ている子はすべてかみさまの捨て子だと思いながら。
血のつながりがあってもなくても関係ない。産んでも産まなくても関係ない。
そう、子供は「たまもの」なのだ。

もちろんリアリティには欠ける。現実じゃこうはいかない。
でもね、正直母性なんて私自身が信じてないから。
生まれた途端、いやお腹にいる時から可愛いって思う母親ばかりじゃない。
子を育てながら自分も母親になるんだよ。
だからね「わたし」と私はそんなに変わらない。

だからこそ、山尾がもう子供じゃなくなることが怖いんだね。
でもきっと大丈夫。
二人の関係は何があったって壊れないんだから。

いい作品。言葉の美しさも情景描写もみんな好き。
でもきっと読む人を選ぶ。
あ、でも男の子の母は共感してくれるかな。
山尾があまりにも可愛いから。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2014年9月20日
読了日 : 2014年9月19日
本棚登録日 : 2014年9月19日

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