精神医学の現場では、患者が一切口をきかないことを「緘黙」状態と呼ぶそうです。その「緘黙」を何年間も貫いている人物が、ある地方の病院に入院してくるところから物語が始まります。患者の担当医となったのは全く異なるタイプの3人の精神科医。手を尽くして患者の精神状態を探り、あの手この手で喋らせようと奮闘しますが、患者は断固として口を開いてくれません。
現役の精神科医が執筆しただけあり、描写にリアリティがあって非常に読み応えがありました。
なお、著者は大変な読書家として知られていますが、なんと作中に渋澤龍彦の『高丘親王航海記』が登場します。どのような状況で登場するのかは読んでのお楽しみです。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
文学/小説/文学論
- 感想投稿日 : 2018年9月18日
- 読了日 : -
- 本棚登録日 : 2018年9月5日
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