原田マハさんの本の中でも、自分にとってはちょっと難しかった本…
アートが好きで、『楽園のカンヴァス』や『たゆたえども沈まず』、『暗幕のゲルニカ』など、原田さんのアートミステリーや美術をテーマにした人情小説を読んできて、そのどれもが良かったから今回も期待していたけど、なんか急に専門的になって登場人物も多くて、あまり感情移入できなかった。
ところどころ好きな言葉、刺さるフレーズ、そして学びがあった。
メアリー・カサットという女性の存在なくして、印象派がこんなにも広まることはなかったこと。
芸術家とパトロンの切っても切れない関係性の現実。
ゴッホの時代の官展に出される絵のつまらなさ、それを覆した印象派。
「印象派」というのはそもそも評論家たちが揶揄してつけた言葉だということ。
そして何より…
芸術家は特別な存在であり、われわれ一般人とは異なった価値観と感性で生きていて、交わることはないように思えるけど、彼らにも我々と同じように家族があり、作品を売って生活をし、そのための駆け引きをし、悩み、趣味に興じたり、楽しいことや嫌なことも経験し、病も患う。
普通の人々と同じような生活をし、同じように喜び、同じように悩み、同じように涙する。
そのことに想いを馳せられたのは貴重な時間でした
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2023年6月30日
- 読了日 : 2023年6月30日
- 本棚登録日 : 2023年6月30日
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