「角の折れたユニコーン」というメタファーが強烈に印象的でした。
ユニコーンとは、ローラのことのように思われます。障害ととらえられる特別なものを持っていたローラ。そこにはジムの言う劣等感も含まれるのでしょう。束の間のジムとの交流で普通の姿になり得た。あるいは、作者の実際の姉ローズが手術によって前頭葉を失ったことにも重なります。
しかし、他の三人も「かつては守られていた大切で特別な何かを失った」という点で、このモチーフに重なります。娘の将来と息子の存在を失ったアマンダ。ローラへの不貞行為により6年前の栄光を完全に失ったジム。自ら立ち去ることで家族を失ったトム。
ユニコーンの示唆する正解は定かではありません。しかし、角を失ったユニコーンというモチーフは私たちを幻想の世界へといっそう引き込み、本戯曲の要となっています。
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- 感想投稿日 : 2022年10月3日
- 読了日 : 2022年10月1日
- 本棚登録日 : 2022年10月1日
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