いま生きる「資本論」 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社 (2017年1月28日発売)
3.67
  • (9)
  • (12)
  • (19)
  • (2)
  • (0)
本棚登録 : 248
感想 : 24
4

カール・マルクスの『資本論』を資本主義社会の内在的論理を解明した書として理解することを目指した、著者による6回にわたるセミナーを活字化したもの。
『資本論』は、名前しか知らなかったが、本書では全三巻のポイントを何回も漆塗りを重ねるように説明するので、労働力の商品化、商品の使用価値と価値、賃金の成り立ち、搾取と収奪といったことの説明は何となく頭に入った。
マルクス経済学にも派閥があることさえ知らなかったし、プロレタリア革命とセットという認識の修正にもなった。
古書の値段、ソ連事情、マルクス経済学の派閥による見解の違いなど、関連しつつも脱線したお話をする著者の人となりに興味を惹かれた。
とはいえ、資本主義社会の論理として、資本家は利潤の最大化をどこまでも追及するだけなのか、賃金が労働者の生活維持を保障するものなのかなど、どこか納得できないところ、さらには分からないところも結構あった。
20-42

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 教養
感想投稿日 : 2020年8月6日
読了日 : 2020年8月4日
本棚登録日 : 2020年8月6日

みんなの感想をみる

コメント 0件

ツイートする