「変な人」が書いた本。
日本人は美に敏感で、細かな心遣いを持ち合わせている(らしい)。しかし、それ故に溢れる「醜さ」がある。
<「美しい国」が好きな人には、読んで頂かなくても結構です。>
と、書いてあったので、思わず手に取ると「戦う大学教授」こと中島義道の新作でした。
「音漬け社会」を扱った『うるさい日本の私』の延長線上にあり、今作では景観・接客・日本人的態度の「醜さ」にまで対象を広げた一風変わった日本文化論。
「感受性ファシズム」に対する感受性のマイノリティである著者の極端な不快感と問題意識を表明している。
具体的には、
電線や原色にあふれる街並みや、優雅にデザインされた建物の形を破壊する看板の氾濫といった景観の醜さと、それに気付かない美に敏感な人々の鈍感さ。
客に対して卑屈すぎる「奴隷的サービス」。
実効を伴わない「バカ管理放送」など
を取り上げている。
著者のような人が身近にいたら、はっきりって煩わしくて仕方がないだろうが、言ってること自体は間違いじゃないと思う。(極端すぎると感じる一方で、概ね納得はできる。)
特に終盤、「言葉を信じない文化」には同感する点が多かった。
個々の事例は批判的に感じても、あとがきには納得する人も多いのではないでしょうか。最終章とあとがきだけでも読む価値アリだと思います。
やや自嘲気味でいて、尚かつ饒舌。読んでいて面白く、具体例や体験談にはおもわず笑いも・・・。
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- 感想投稿日 : 2007年5月26日
- 本棚登録日 : 2007年5月26日
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