幼い頃に誘拐された子をやっと取り戻せば、里親に懐いて実の親を忘れてしまっていた。
誘拐の事実を知らず、愛情を込めて自分の子として苦労して育てた里親。奪い去られた子を探して万里を駆け、苦悩に引き裂かれた実の親。そして、子供たち。この三者が共にどう生きてゆくかを模索してゆく。
親が子を想う気持ちは、子が親を思う気持ちは、あたりまえのことなのだけれど、世界中みな同じで。子を持つ親ならばおそらく誰しもが、強く強く共感できる余地のある、深い作品。
昔も今も日本は、アジアの人身売買シンジケートにおける、最大の輸入者だ。人を人とも思わない風潮が世界各地で伸び始めているいま、こういった作品こそ遥か遠くまで流れていってほしい。
エンディングの歌がまた、泣ける。
実の親がまず歌いだす。"亲爱的小孩、今天有没有哭,my dear child, did you or did you not cry today? (i hope you didn't. ) "
そして里親が歌いだす。 "漂亮的小孩,今天有没有哭, my beautiful child, did you or did you not cry today?"
私の大切な息子は今日、泣いていないだろうか。私の美しい娘は今日、泣かされるようなことがないだろうか。ないことを願い、祈る。助けたくても助けられないやるせなさ。
子供のアレルギーについて里親が実の親に注意をした時、実の親は里親もまた、本当に、この子の親であることに気づく。戦友のような絆が複雑な心に芽生える。
涙なしには見られない、深みのあるヒューマンドラマであり、社会問題へのドキュメンタリーでもある。
"偉大にして平凡なる、すべての親に捧ぐ"
- 感想投稿日 : 2018年8月30日
- 読了日 : 2018年8月23日
- 本棚登録日 : 2018年8月23日
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