本書は,バロック期から現代に到るまでのクラシックにおける代表的な作曲家40名に焦点を当て,概ね時系列順に彼らの人物像,エピソード,代表作などについて紹介していくという構成を採る,クラシックに関する入門書的な書物である.
文面はエッセイ風に綴られ,非常に読みやすい.また,本文中の専門性の高い単語(例えば;『王は踊る』,「コメディ・バレー」,「モテット」など)に関しては,その都度に注釈が付けられ,その項の下部で簡単に説明するという構成となっているなど,初学者を強く意識した工夫が凝らされており,快適に読み進めることができる.
さらに,「クラシックが10倍楽しくなる! おもしろ雑学集」なるコラムが11篇,加えて「クラシックの素朴なギモン Q&A」と『ラブリー「作曲家占い」』が収録されているが,ここでは「第九」の呪いやCDの選び方,オーディオ機器の魅力,あるいは演奏会での振る舞い方など,クラシックへの一層の興味を誘う話題から実際に役立つ指南まで,広範な問題が取り扱われていて,読者を全く飽きさせない.「作曲家占い」も割と正鵠を射ているように感じられ,楽しく読むことができた.
なお,本書の特筆すべき点として,文庫本でありながら特別付録に8[cm]径のCDが付属していることが挙げられよう.これに関しては,インターネットの隆盛極まる今日にあっては不必要にも思えるものの,曲目解説も付いているので,手軽なクラシックの聴き方の練習に利用できるであろう.
総じて,本書はクラシック初学者にとって,極めて良質な入門書であると評することができる.さらに,入門に際しての「最初の1冊」として強く勧めることができる一冊でもある.
- 感想投稿日 : 2013年11月16日
- 読了日 : 2013年11月4日
- 本棚登録日 : 2013年10月29日
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