マネジメント[エッセンシャル版] - 基本と原則

  • ダイヤモンド社 (2001年12月14日発売)
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・公的機関不振の原因は、まさにそれが企業ではないところにある。公的機関において企業のようにマネジメントするということは、単にコストの管理を意味するにすぎない。公的機関にかけている物は、成果であって効率では無い。効率によって成果を手にする事は出来ない。

・組織には、人を間違った方向へ持っていく要因が四つある。すなわち、
①技能の分化
②組織の階級化
③階層の分離
④報酬の意味づけ
である。

①→三人の石切り工の話しがある。何をしているか聞かれて、それぞれが「暮らしを立てている」「最高の石切りの仕事をしている」「教会を建てている」と答えた。第三の男こそマネージャーである。第一の男は、仕事で何を得ようとしているか知っており、事実それを得ている。だがマネージャーでは無い。将来もマネージャーにはなれない。問題は第二の男である。熟練した技能は不可欠である。しかし専門家は、単に石を磨き脚注を集めているだけにすぎなくとも、大きなことをしていると錯覚する事がある。

②→組織の階級的な構造が、この危険をさらに大きくする。上司の言動、些細な言葉じり、癖や習慣までもが、計算され意図された意味あるものと受け取られる。

③→間違った方向付けは、階層によって仕事と関心に違いがあることからも起こる。この問題も、よき意図や態度では解決できない。これもまた組織の構造に根差している。コミュニケーションの改善では解決できない。コミュニケーションが成立するには共通の言語と共通の理解が前提となる。欠如しているのは、まさにそれらの前提である。

④→報酬は、組織にとってのコストであり、一人一人にとっての収入である。報酬について公式を求めても無駄である。いかなる報酬にしても、報酬システムが持っているさまざまな意味合いの妥協に過ぎない。最高のシステムであっても、一方において組織を強化し、他方において弱体化する。一方で正しく方向付けし、他方で間違って方向付けする。科学的な報酬システムはもちろん、かなり良いと言える報酬システムさえ作るのは難しい。できることといえば、間違った行動を褒めたり、間違った成果を強調したり、共通の利益に反する間違った方向へ導くことの無いよう監視する事ぐらいである。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 仕事
感想投稿日 : 2012年7月13日
読了日 : 2012年7月13日
本棚登録日 : 2012年7月13日

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