その可能性はすでに考えた (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社 (2018年2月15日発売)
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本棚登録 : 4302
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読んだつもりになっていて、読んでいなかった本。井上真偽さんの作品は初めて読んだ。ドラマ化された『探偵が早すぎる』の原作者という方が通りがいいかもしれない(どちらも未見ですが…)。

まず設定がぶっ飛んでいる。本書の探偵・上笠丞は謎解きはしない。しないというよりは、謎解きのベクトルが異なっている。彼が行うのは、その謎が奇蹟であることの証明である。そのためにはあらゆる可能性を想定し、かつそのすべてを論理的に否定しなくてはならない。当然、不可能の証明だが、本書のタイトルは、彼の決め台詞に由来する。

今回の依頼は、山奥に隠れ住むカルト教団で起きた惨殺事件の解明。ただ一人生き残った少女は、首を斬られたはずの少年に助けられた記憶があるという。果たしてそれはトリックか、奇蹟なのか。上笠は、本検察、中国の女マフィア、天才少年の繰り出す推理をすべて否定できるのか。

作り物めいた美形で奇人の主人公。決め台詞どころか決めポーズまであり、おまけにオッドアイ。定番のバチカンまで登場するのだから、お腹いっぱいである。この手の周辺情報だけで、付いていくのに疲れてしまった。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2022年6月13日
読了日 : 2022年6月15日
本棚登録日 : 2022年6月12日

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