大学卒業後くらいに読んだのが初読で今回は再読となります。初読時の記憶はあやふやでストーリー展開はほとんど覚えていませんでした(テーマについては記憶あり)
以下感想。
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何度も何度もくりかえし顕われる、弱き者傷ついた者に、ただ寄り添う「誰か」の存在。
奇蹟は起きない。奇蹟は起きないけれど。
神はいるのだ。
泣く私を慰めて頬を撫でる伴侶のうちに。
失意の伴侶の傍らに立つだけの私のうちにも。
つらい失恋を癒す音楽に、孤独に立ちすくむ人を包む陽光に、言葉を持たず手をそっと舐める犬のうちに、神はいる。
虐げられた者、弱き者、醜い者、欠落を抱えた者、罪を犯した者の傍に神はある。
沈黙してただ寄り添う神は、この大気に溶け込んで在るのだ。
遠藤周作の描く神の姿は、なんとちっぽけでなんと優しいのだろう。
泣く者の涙を止めることもできない無力な神は、しかしながら決して誰をも見捨てることなく誰の人生にも同伴する。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
Quo Vadis
- 感想投稿日 : 2018年7月31日
- 読了日 : 2018年7月31日
- 本棚登録日 : 2018年7月31日
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