右翼思想家として知られる大川周明が日本史を解説している本。本書は、昭和14年にベストセラーとなったものの復刻版。大川周明は日本精神の復興を唱えていた思想家である。曰く、日本精神の特徴で、最も著しいのは、外来の思想や文明に正しい方向を与えることであり、それが出来るのは、日本民族が正しき理想を抱くが故である。この理想を把持してきたからこそ今日がある。改革が叫ばれる時、国民的精神が衰弱し頽廃すると、善なるものの力が弱まって、悪なるものが跋扈する。この悪を打ち破るには、日本の本来あるべき理想を認識することが必要になる。なぜならば、各々の国は、国家の成り立ちが異なるので、外国を真似しても、木に竹を接ぐような改革に終わってしまうからだ。つまり、自国の善を以てしか自国の悪を打ち破ることはできない。だからこそ、真の改革のために、日本精神を復興させなければならない。大川はこのような認識の基に日本の歴史を体系的に解説している。古今東西の宗教や思想に造詣が深かった著者の視点は、平成の現代でも簡単に切り捨てることはできないと思った。いま一度読まれるべき書であろう。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
大東亜戦争
- 感想投稿日 : 2010年4月25日
- 読了日 : 2010年4月24日
- 本棚登録日 : 2010年4月24日
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