ブラック企業 日本を食いつぶす妖怪 (文春新書)

著者 :
  • 文藝春秋 (2012年11月19日発売)
3.42
  • (65)
  • (137)
  • (167)
  • (54)
  • (15)
本棚登録 : 1461
感想 : 183
4

書名が何より雄弁に語っている。
<blockquote>実際、このままでは日本は「国滅びてブラック企業あり」という状況になりかねない。(P.177)</blockquote>
本書はウェザーニュースや大庄、ワタミ、SHOP99といった個別なブラック企業を糾弾する書ではない(・・・してるけど)。ブラック企業問題を日本の抱える社会問題として捉え提示している。これは日本社会や経済を破壊しかねない非常に重要な問題だ。何故なら、ブラック企業は若年層を"使い捨て"て将来を潰し、少子化を引き起こし、サービスや技術水準、治安の低下を招き、少子化に拍車をかけ、社会保障や税制をも根幹から揺るがす問題だからだ。

<blockquote><b>ブラック企業の規制を実現してこそ、日本経済の効率性を高め、社会の発展を実現できる(P.243)</b></blockquote>と著者は結論付けている。

ブラック企業とは何か。この定義は難しい。ブラック企業とは日本型雇用、日本的企業の変質であり、現在の法(労働法など)では落とし所が無い。いわば日本社会の構造にその要因がある。

<blockquote><i>すべての企業がブラック企業であるというわけではないが、すべての日本企業はブラック企業になり得る。</i>(P.190)</blockquote>


では働く側はどうやってブラック企業から身を守るか。著者はパワハラなどによって企業に使い捨てにされる=ウツになる前に5つの思考・行動を進めている。
1.自分が悪いと思わない
2.会社のいう事を疑ってかかる。
3.簡単に諦めない
4.労働法を活用する
5.専門家を活用する

ブラック企業に対するには「戦略的思考」を持たなければならない。企業は戦略的に使い捨てにしようと(労働者をコストとして捉える)しているからだ。それと同じように日本社会全体が、こういった傾向に「戦略的思考」をもって望まなければならない。日本を食いつぶす妖怪=ブラック企業を退治できなければ、日本は滅びてしまうからだ。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 本・雑誌
感想投稿日 : 2018年11月20日
読了日 : 2013年2月1日
本棚登録日 : 2018年11月20日

みんなの感想をみる

コメント 0件

ツイートする