まっ白な嘘 (創元推理文庫) (創元推理文庫 146-7 フレドリック・ブラウン短編集 1)

  • 東京創元社 (1962年5月25日発売)
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感想 : 39
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短編集。気に入った3作品の感想。
どれも最後に逆転があるけれど、そこに至るまでの主人公の苦悩の方に焦点がある。
他の短編もなかなか面白い。

《世界がおしまいになった日》
飲んだくれを驚かそうと新聞編集者が「世界が今日終わる」と加工した新聞を渡す。飲んだくれははずみで人を二人殺す。追ってから逃れて川に飛び込んで、冷たい水にさらされて酔いが一気に醒めた。
編集者の元へ向かってそいつを殺した。編集者には本当に「世界の終わり」だった。
作中で犯人である飲んだくれは編集者のパワハラを受けて退社した人物であると暗示してある。

《メリー・ゴー・ラウンド》
主人公の中年(37歳)のメリーゴーランド管理人は、意中の女の子が好きだが年の差から告白できず、お似合いだと思っている支配人の息子と付き合ってほしいとまで考える日々。そんな中移動式遊園地で殺人事件発生し容疑者として支配人の息子が捉えられてしまう。彼のベッドに盗んだ銀貨があった。
移動前日の最終日、ここで真犯人が見つからなければ彼が有罪になってしまうと考えた主人公はありったけの貯金を引きおろして「真犯人は被害者自身。自作自演で金を奪われた芝居を企んだところ常から悪い心臓がたたって発作で死んでしまった。ここに隠した金がある」と警察に述べてメリーゴーランドの馬をハンマーで叩き割ると、なんと本当に盗まれた金があった。あんぐりと口を開ける主人公。予め用意してあった貯金と、被害者が盗んだ金の両方を見て、主人公の真意を悟った女の子は、主人公に素敵ねあなたに気があるの、と告白してハッピーエンド。

《キャサリン、お前の咽喉をもう一度》
成功した楽団のサックス奏者の手首を切ったのは自分ではなく妻。大逆転のオチ。
入院中の主人公の描写がいい。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: ミステリー
感想投稿日 : 2020年2月15日
読了日 : 2020年2月14日
本棚登録日 : 2020年2月7日

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