面白みはないし納得のいく映画ではない。陰鬱で空虚な人間性と街社会を切り取って、ブラックコメディに仕上げてあるコーエン兄弟監督作。
プロットのが非常によく練られてあり物語がきちんと完結している、ここでいう完結には後味の悪さという名の気味の悪さ、現実を省みたときの居心地の悪さも含める。短編小説のプロモーションビデオのような作品です。日本の小説なら人間が描かれてないと言われるかもしれない。たしかに人間は描かれていない。
だが描かれるような人間はもうほとんどがネットの中にしかいないし、街と街の床屋のある男を表現するのに、これほど成功した作品はそうそうないんじゃないでしょうか。床屋は市民に置き換えられる。危険性のないように見える特定されない男「あなたは彼が人殺しにみえますか?」敏腕弁護士のセリフにこういうのがあった。
本作で注目すべきは、ピアノ教師のもとに小娘をひきつれていく場面だろう。彼は床屋であって、またそれ以上にああなのだ。彼が拒否したのも面白い。よく出来た映画です。
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映像
- 感想投稿日 : 2010年3月6日
- 読了日 : 2010年3月6日
- 本棚登録日 : 2010年3月6日
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