りかさん (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社 (2003年6月28日発売)
3.71
  • (557)
  • (685)
  • (1046)
  • (75)
  • (21)
本棚登録 : 5433
感想 : 541

「ようこはねえ、おばあちゃん、『リカちゃん』がほしいの」
「なんだえ、それは」
「お人形よ、おばあちゃん、知らないの」

送られてきたのは、真っ黒の髪の市松人形だった。
ほっそりした『リカちゃん』の倍近くある。

なんでこんなことに…
と、悲しみに暮れるようこだったけれど、
この市松人形『りかさん』は、ようこにとってとても大切なものとなった。

なぜならその人形には、 “特別な秘密” があったのだから…。


これは前作、『からくりからくさ』の容子の幼いころを描いた作品で、
今作『りかさん』とは別な作品だけれど、互いにストーリーを補完しあっていたりするので、両方読んでみると深みが出ていっそう楽しめます。

『からくりからくさ』の “容子” は大人になって、ストーリーも少し現実的に出来ているのですが、
『りかさん』の “ようこちゃん” を取り巻く今回の作品は、少女らしい少しファンタジックな世界観に出来上がっています。

幼い “ようこちゃん” が『りかさん』に出会い、数々の不思議と対面し、想いに触れ、心を揺らしながら、どのように『からくりからくさ』の “容子” へと成長してきたのか、その過程も見えてきて面白いですね。

描き下ろしの『ミケルの庭』は、さらに『からくりからくさ』の後日譚。
これがまた、すごくよかったです。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 梨木香歩
感想投稿日 : 2012年6月14日
読了日 : 2012年6月14日
本棚登録日 : 2011年8月25日

みんなの感想をみる

コメント 1件

まろんさんのコメント
2013/01/13

はじめまして。フォローしていただいて、ありがとうございます!まろんです。

祖母が立派な雛人形を買ってくれると言ったとき大泣きしたくらい、
日本人形が怖くてたまらなかった私ですが、りかさんだったら
迷わずほしい!と思ってしまった物語でした。
『ミケルの庭』で垣間見える、大人になった容子の暮らしもとても素敵で、
りかさんとのあの日々があってこその成長ぶりだなぁ、と微笑ましくなりました。

xxxshuxxxさんは、音大生でいらして、猫好きで
乙一さん、宮部みゆきさん、梨木香歩さん。。。と
好きな作家さんもずいぶん重なっていて
本棚を拝見して、うれしくなってしまいました。

丁寧なレビューも楽しみにしていますので、
今後ともどうぞよろしくお願いします(*^_^*)

ツイートする