「ようこはねえ、おばあちゃん、『リカちゃん』がほしいの」
「なんだえ、それは」
「お人形よ、おばあちゃん、知らないの」
送られてきたのは、真っ黒の髪の市松人形だった。
ほっそりした『リカちゃん』の倍近くある。
なんでこんなことに…
と、悲しみに暮れるようこだったけれど、
この市松人形『りかさん』は、ようこにとってとても大切なものとなった。
なぜならその人形には、 “特別な秘密” があったのだから…。
これは前作、『からくりからくさ』の容子の幼いころを描いた作品で、
今作『りかさん』とは別な作品だけれど、互いにストーリーを補完しあっていたりするので、両方読んでみると深みが出ていっそう楽しめます。
『からくりからくさ』の “容子” は大人になって、ストーリーも少し現実的に出来ているのですが、
『りかさん』の “ようこちゃん” を取り巻く今回の作品は、少女らしい少しファンタジックな世界観に出来上がっています。
幼い “ようこちゃん” が『りかさん』に出会い、数々の不思議と対面し、想いに触れ、心を揺らしながら、どのように『からくりからくさ』の “容子” へと成長してきたのか、その過程も見えてきて面白いですね。
描き下ろしの『ミケルの庭』は、さらに『からくりからくさ』の後日譚。
これがまた、すごくよかったです。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
梨木香歩
- 感想投稿日 : 2012年6月14日
- 読了日 : 2012年6月14日
- 本棚登録日 : 2011年8月25日
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コメント 1件
まろんさんのコメント
2013/01/13