車輪の下 (新潮文庫)

  • 新潮社 (1951年12月4日発売)
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「ノルウェイの森」の作中、ワタナベくんがミドリの家で読んでいた印象。
中1の教科書にとりあげられているらしいと知って、読もう読もうと思っていたいわずと知れた作品。



前半は自然豊かな描写が綺麗だけど、なかなか読み進まず、(産後で読解力も産み落としたんかってくらい文字に目が滑る…)、後半にいくにつれてぐんぐん惹き込まれるのと同時にどんどん切ない気持ちに。

「車輪」のワードに辿り着いた時には、

そういうテーマなのか

じゃあ下ってことはこの先は…と

胸が詰まるような感覚で読了。



調べてみたら、

ドイツで落ちこぼれになることの例えとして「車輪の下敷きになる」と言われることがあるそう。


『こういうふうに陽気な日曜日を持ち、当然その資格のある人間のように、人生を心得、愉快にやることを心得ている人たちと一緒に、料理店のテーブルに向かって腰掛けるのは、すてきだった。
...力をこめてテーブルをとんとんたたき、屈
託なく「ねえさんもう一杯」と叫ぶのは、すてきで男らしかった。』

社会に圧迫された環境に翻弄されながらも、
序盤と中盤、終盤で主人公ハンスから見る世界が変わっていく描写が勇気づけられ、
その分、主人公の結末と周りの悪意のない、自分が与えた主人公への圧力に気付かずにただただ可哀想にと嘆く姿に、うわわわとなった。(語彙力…。笑)

ほぼ作者ヘッセの自叙伝だというこの話。
解説まで読んで、この作品がさらに胸に落ちた。

教育者として、親として、
忘れたくないなあ、と思う感覚でした。

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感想投稿日 : 2024年1月30日
本棚登録日 : 2024年1月13日

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