いのちの半ばに (岩波文庫 赤 312-1)

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  • Amazon.co.jp ・本 (104ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003231210

感想・レビュー・書評

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  • 死を題材にした短編集で、生々しさや怖さを感じました。

  • 「国語力をつけるにはどうすればいいか」という質問を受けることが多い。ところがこの質問をされる方は、必ずと言っていいほど、質問した瞬間にご自分で答に気づいた表情をし、私がおもむろに「読書が…」と口を開くと、「やはり…」となる。「読書」は、本当は当然の行為なのに、いつのまにか、趣味や嗜好性の一部に取り込まれ、「読書しない」という個性があるかのように語られる。あるいは、「読書したら国語の成績が上がる」かどうかで、読書という行為の価値を計ろうとする。「これを飲めば痩せる」というのは、商業主義の好む論理であって、それを読書に当てはめるのはあまりにナイーブだ。
    宿題の山、試験の嵐、部活動の疲労、といった苦難の中、どうか読書をしてほしい。その意義は、テストの成績ではなく、あなたの思考力をつくり、感性を育て、判断力を高め、想像力を大きくする。読書は、あなたの人間形成に寄与する、もっと高い次元のものだとわかってほしい。
    そして、どうしても時間のない人、読書に抵抗のある人に、「劇薬」の超短編をお薦めする。ビアスはアメリカの小説家。『悪魔の辞典』の著者としても有名。彼の短編集の中の一つ、「アウル・クリーク橋の一事件」は、わずか15ページ。かつて、作家・筒井康隆が激賞した、短編の「どうしようもない傑作」(筒井康隆『短編小説講義』岩波新書)。これを入口に、短編好きになってほしい。その先に長編も待っている。この衝撃こそが「読書」からのメッセージだ。(K) 
     
    ※ 岩波は絶版ですが、「光文社古典新訳文庫」から、『アウル・クリーク橋の出来事/豹の眼』として出ています。

    「紫雲国語塾通信〈紫のゆかり〉」2014年7月号より。

  • 2021年 40冊目

    短編集だがどの話も重苦しく一作読むごとに一息ついた。消費するのではなく読み手が消費される文学。

  • 実際には「死んで行く」なんてものはありゃあしないんです。

  • 密集した文字の羅列に臆してほんの少し目をそらす。その直後物語は急転直下、砂時計の最後の砂が落ちるが如くあっという間に終わりがくる。狐につままれたような、信じられない気持ちで読み返すが、やはり同じ。一編一編が事故にでも遭遇したみたいだ。

  • ◎「アウル・クリーク橋の一事件」は傑作。(他は良作程度のものである)かなり前に筒井が『短篇小説講義』で絶賛していたことだけは覚えて読み始めたが、やはりその通り傑作であった。
    『短篇小説講義』(岩波新書)より筒井「人間心理が『死』というテーマと『結末の意外性』によってくっきりと浮かび上がり、そこには人間を見るアンブロウズ・ビアスのいつもの皮肉な視点もちゃんと備わっている。文体、描写、三段階のプロット、技法、いずれを欠いてもこれほどの傑作にはならなかっただろうと想像できるが故の、これ以上『どうしようもない傑作』なのである。」(p.69)

  • 自分には合わないので終了。

  • ビアス、おそるべし。

  • 20100404朝日新聞書評

  • 人生の瞬間を切り取ったような小説集。悪魔の辞典をこのあと読みました。

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