家守綺譚 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社 (2006年9月28日発売)
4.14
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本棚登録 : 8962
感想 : 1102
5

2009年2月5日~6日。
 危うくこの本を読まずに死ぬところだった。
 とある方が教えて下さった。
 感謝。
 ここには僕の失ったものがある。
 失いたくは無いものがある。
 頑なに守ってきたものがある。
 忘れていたものがある。
 たとえ一文、いや漢字一文字ですら読み飛ばしたくはない。
 不思議でもあり、当たり前でもあり、ペーソスとちょっとぶっきらぼうなその文章は、まるで煮物にされたジャガイモになったようにジワジワと染みてくる。
 綿貫、高堂、となりのおかみさん(ハナさん)、ダァリア、ゴロー、和尚、山内、百合、花鬼、小鬼、タヌキ、河童、竜、長虫屋、そしてサルスベリ、その他諸々。
 すべての登場人物(人物じゃない存在もいるが)が魅力的。
 本当に久しぶりに心が震えた。
 そうか、高堂は葡萄を食べてしまったんだな。
 僕は綿貫と同じく、例え渇きがあっても、もう少し食べるのを後回しにしよう。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 梨木果歩
感想投稿日 : 2018年1月6日
読了日 : 2022年11月24日
本棚登録日 : 2017年12月28日

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