無伴奏ソナタ〔新訳版〕 (ハヤカワ文庫 SF カ 1-26)

  • 早川書房 (2014年1月24日発売)
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感想 : 26
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■著者は敬虔なモルモン教信者だそうな。が、そんな(……たいへん失礼ですが)化石のような価値観をもつ宗教者が、それも(……たびたび失礼ですが)どちらかといえばカルトに属する宗教者が、どうしたらこんな柔軟で強力なイマジネーションを併せ持つことができるのか。頭ン中どんなになってるのか、一回覗いてみたいものだ。
■以下の4作品はまさに珠玉の短編。未読の方には絶対おすすめ。
「エンダーのゲーム」……10歳の天才戦術家アンドリュー ”エンダー” ウィッギンが、人類の存亡を賭けたエイリアンとの全面戦争に臨む。しかし本編のテーマはバトルアクションなどでなく、エンダーの心の葛藤と成長。他に類がないような不思議な作品だ。
「王の食肉」……クトゥルーのイカみたいな邪悪なエイリアンが出てきて人間どもを召し上がる、ぱくぱくと……。メリハリがある展開がトン、トン、ト――ンと進んで、着地も素晴らしい。
「死すべき神々」……ワン・アイデアものだが、哲学的かつ感動的。まさに良質なSF短編の見本です。
「無伴奏ソナタ」……ひとりの超天才音楽家の一生。モーツァルトなら、”死と絶望がその人の報いだった”だが、こちらは最後に救いがもたらされる。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: SF・ファンタジー
感想投稿日 : 2020年3月6日
読了日 : 2020年3月6日
本棚登録日 : 2020年3月6日

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